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下田穣無伴奏ヴァイオリンの響き

昨夕久方ぶりにコンサート会場に足を運んだ。
《下田穣無伴奏ヴァイオリンの響き》
会場は由緒ゆかしき仁風閣。
折からの猛暑は19時開演の頃も30℃をカウントしていた。
空調のない会場には、はち切れんばかりの人々の人いきれが加わった。
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当日のプログラムはテレマンとバッハのバロックに対して、
ツィンマーマン、ストラヴィンスキー、ブーレーズ、イザイの現代曲群が
ずらりと並ぶ。
当地では異色のプログラミングだ。

おそらく100%近い湿度のコンディションでは、弦楽器は堪ったものではないだろう。
この懸念が的中した。
テレマン、バッハと続くのだが、伸びやかな音など望むべくも無く、
フレーズをつなげるのに悪戦苦闘しているようだ。
前半最後の曲、ツィンマーマンでやや修正出来たかに思えたが、
彼の実力はこんなものではないと感じた。

後半ストラヴィンスキー、ブーレーズはさらに修正されて、
この悪コンディション下で良く弾ききった。
そしてエンディングのイザイはそれまでのことが嘘のように
淀んでいた曇天にポッカリと晴れ間が、まるで台風の目のよう。
豊穣な音楽を展開した。

参考のため、彼のプロフィールを添える。
下田穣無伴奏ヴァイオリンの響き_e0166734_1121855.jpg

彼の実家は千葉県だが、ご両親が鳥取出身なので
出生はお母さんの故郷、鳥取でと言うことのようだ。
厳密には鳥取出身の若手音楽家と言うにはおこがましいが、
当然のことながら親類縁者も当地に多く、
あえて鳥取出身と呼んでもよかろう。
東京芸大に入学後、奨学金を得てロンドンでの修行をし、
今秋からはドイツのフランクフルトで修業研鑽を重ねることになっている。
当地に関わる楽しみな逸材がまた見つかった。

仁風閣そのものは上等な雰囲気を醸している。
シャンデリアは折れ線状の炭素フィラメントが古めかしく輝き、
情緒は抜群なのだが、いかんせん空調のないこの季の会場としては、
眞事いただけなかった。
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by tomiot3 | 2011-08-06 11:21 | コンサート | Trackback(1) | Comments(0)

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