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満開!小山実稚恵PR 

今日は終日、小山実稚恵デーだった。
10時からチラシ挟み込みに。
ピアノ調律中、昨日に行われたはずだが、今日も念入りにやっている様子。
調律は杉浦さんという方、ちょっとあいさつ。
調律中の音ですら、いつもと違うみたいだ。
乞うご期待!
30分ばかりで挟み込み作業終了、今度は妻の姉を迎えに郡家に向かう。
14時開演には随分時間があるので、郡家のはづれにある柿直売所へ。
花御所柿の様子も見たい。
やー柿畑は柿の花、満開状態だ
この柿の特徴は葉っぱがすっかり落葉してダイダイ色の柿が思いっきり主張する。
もうすぐ収穫が始まりそうだ。
直売所でずねたら20日頃からと言う。

この花御所柿には懐かしい想い出が詰まっている。
小山実稚恵さんの鳥取公演の初期の頃、わたしも拘わっていた。
演奏会翌日、この柿の景色はきっと気に入って頂ける。
案内したところ、たちどころの反応、そして既に販売が始まっていた。
幾箱もあちこちに直送、東北ご出身なので、岩手などその方面があったように記憶している。


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この畑の柿には番号が付けられている。オーナー制度の柿なんだって。
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これは直売所前に置かれた鉢植え、大きいもので差し渡し7センチくらい。
色つや、大きさ、それに堪らない上品な甘さ、柿の王様だ。

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時間稼ぎをして姉を迎え、鳥取市文化ホールへ。
開場まで1時間以上もある、喫茶で時間潰ししても・・・・。
雨も降り出し、開場待ちの行列に主催者が配慮して早めに開場してくれた。やれやれ!

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まだ混み合わないうちに、友人とCDを買う。
幾種類の中で、わたしは即座に即興曲集を奨め、わたしも同じものを。

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今日は満席。14時開演 期待感が会場を満たしている。

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小山さんの挨拶が先ずはじめにあって、演奏が始まる。
小山さん曰く、シューベルトは歳を取ってから益々好きになった。
と言う辺りで、CDの即興曲を選んだ眼力ににんまり。

シューマン/花の曲、ロマチックな短い曲でプロローグ、しゃれた導入。
スタインウエイがまるで違う。別の楽器のようだ。
高音の伸びやかな輝き、低中音域の広がりと倍音、強打した時も音が詰まらない。
加えて小山さんの柔らかく、強く、柔軟な完璧すぎるピアニズム。
ディナーミクが宇宙的だ。

次いでシューベルトの即興曲作品90、今回のプロの中で一番聴きたかった曲。
シューベルト晩年の作、4曲が独立した曲でそれぞれの曲が実に印象的。
ことに第一番ハ短調の左手の連打が歌曲「魔王」を想わせる風に聞こえて仕方が無かった。
休憩時間にきっとピアノをしているだろうお子さんが、シューベルトってすごいね。沢山の楽章を作って・・・
と連れのお母さんらしき人に話していた。
そうか楽章と捉えているのか。
そもそも即興曲が大好きで作品90も142もよく聞くが、どちらかと言えば142に軍配かな。
愛聴盤はへブラー、ブレンデル、舘野泉、これに小山実稚恵が加わることになるだろう。

休憩後アルベニス/組曲「旅の思い出」より 第6曲「入り江のざわめき」軽いタッチで標題を想像させるに十分、さざ波がキラキラと、先ずは手慣らし。
そしてショパン/ノクターン第2番有名すぎる名曲、こころ和らぐ和音の上に、叙情的な旋律が歌われてゆきます。
と小山さん自身の解説にもあるように、シューベルととの対比をプログラミングされた。
静かな余韻が消えるやいなや、シューベルト/ソナタ第19番に激しく突入した。
心憎いばかりの選曲とプログラミングの巧み。
第2楽章はシューベルトの不安を思わせる美しさにあふれている。
第3楽章はメヌエット、さりげなく美しいオクターヴの旋律と、不安を掻き立てる左手の音型が、3拍子にのって静かな疾風となって駆け抜けます。と小山さんの解説。
第4楽章 とてつもない美しさと何とも言えない不安が同居しているうちに、駆け抜けて終わるという印象だった。
最晩年の1828年には、3曲のピアノソナタを書いている。
今日の19番、そして20番、21番。
1828年11月19日、ウイーンに没した。31歳9ヶ月、天才の早逝だった。


満席のお客さん、マナーも良かった。
ただ一度、携帯が鳴った。5度?続いた。これは残念だった。
だが小山さんの演奏を終わるしょしゃが、余分な拍手を誘わなかった。
曲間も音楽は止まっていない。音のないフェルマータとでも言おうか。
これは演奏家にひとつのテクニックとして身につける要件だと思った。
無音の時間を音楽として、聴衆にも伝える小山さんに感服した。
ピアノの音も上等、演奏も最最高、センスあふれる選曲。

今日のアンコールも良かった。
即興曲は大好きな142-2が演奏された。
これが今日の最大の収穫。
即興曲の中で、どれが一番好きかと問われれば、142-2。
ショパンの幻想即興曲が告げられた時、どよめきが起こった。
やっぱりこの辺りを皆さん反応するようだ。
シメはアルベニスのかろやかなパヴァーヌ・カプリッツィオ。余韻十分!

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サイン会に並ぶホワイエの外は、とっぷり暮れた初冬の雨だった。

雨に光る道、友人を送り、姉を送っての帰路、まだ極めつけピアノの音が鳴っていた。
















by tomiot3 | 2015-11-14 20:50 | 音楽よもやま | Trackback | Comments(0)