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高木東六の音楽 本番

激しく降ったと思えば、雲間から青空が覗く、そうかと思えばポチポチと来る。
これが梅雨というものだという説明を聞いているようだ。
昼下がりはどうやら落ち着いてきた。
午後2時からの「歿後10年、いまよみがえる高木東六の音楽」 於:わらべ館だ。
14時からの開演、満席という案内が伝えられる。
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第一部 講演 
藤井浩基氏の1時間余りの話は、内容豊かで納得だった。なるほどね。
綿密な調査研究、足まめに取材した足跡に確かなものを感じた。
ステージに置かれたピアノ(ぱっと見にはオルガンに見えた)は高木東六氏が寝室で使っていたピノとのこと。
令嬢(とんでもない誤植をしていました。陳謝)のみどり?さん(ご来場)によりわらべ館に寄贈され.今日はそのお披露目もかねている。
アメリカ・キンボール社製、講演中、このピアノで歌われたのは、
チッピタップロンロン 水色のワルツ 
ピアノ松本哲平 ソプラノ松田千絵 
ピアノはグランドのような豊かな響きではないが、雰囲気十分、安定した歌唱を聴かせてくれたのは松田千絵さん。
東京音楽学校を退学した高木東六は、やがてパリのスコラ・カントルム音楽院で学ぶ。
このとき音楽院に出入りしていたモーリス・ラヴェルとの出会いが大きく影響したという。
現に今日演奏される《鶴》「春」は終始一貫ラヴェル/ボレロのリズムが刻まれていた。
パリ時代のあと、戦前・戦中の段では、軍歌の作曲なども手がけ、《空の神兵》などを作った。
これが高木東六作曲だとは、今日初めて知った。
これなども完璧ではないが、今でも歌える。
インドネシアのパレンバンに奇襲落下傘部隊降下の時の歌。
戦争画もありますね。
パレンバンは油田地帯、油田確保の作戦だったんだろう。
当時軍国少年、親の話もしっかり脳裏に焼き付くほどだった。
戦争って怖いね。
藍より青く、大空に大空に 真白きバラの 花模様・・・
見よ落下傘空を行く 実よ落下傘空を行く ・・・
以降、戦後、テレビ時代へと話が推移した。
藤井講師の高木東六研究への情熱がひしひしと伝わる充実時間だった。
高木東六は奇想天外の人というイメージが強かったが、今日はそのことが裏付けられた。

第二部は、朝鮮舞踊《鶴》
ソン オ スク女史のやや長いトーク、ハングルなので通訳が付くが、この人も韓国人、
少し聞き取りに神経集中が必要だった。
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松本哲平氏と松田千絵氏、それに舞踊家のグク ス ホ氏とのコラボによる10分余り、
1940年(昭和15年)に日比谷公会堂(オーケストラ版)で初演された。
ビクターかテイチク、どっちだったかなー、貴重な録音を短時間聴くことが出来た。すごいなー。
日中戦争の延長上、太平洋戦争に突入前夜、複雑な世情の中、どの様な評価が下されたのか、
知りたいところだ。
初めての音楽と初めての演奏、舞踊、春夏秋冬の全楽章ではなく、「春」だけの部分的とは言いながら、
集中の時間であった。
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当わらべ館では 歿後10年 高木東六展が開催されている。9月20日まで。
キンボールピアノも見られると思う。




by tomiot3 | 2016-07-03 20:49 | 音楽よもやま | Trackback | Comments(0)