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クラシック倶楽部 村治佳織 Ⅱ

一昨日録画したものをしっとりと鑑賞した。

歌曲、ことにシューベルトの歌曲はフィッシャー・ディースカウで目覚めてから
うん十年、そのために少しドイツ語の勉強をして、発音ぐらいは出来るようになった。
三大歌曲集のうちやはり「冬の旅」はレコードがすり切れるくらい聴いた。

とっとり楽友協会を立ち上げて初期の頃、
バリトンの宮原昭吾氏と知己になったのを機会に
三大歌曲集をやってみたいと強く思った。
結果は「美しい水車屋の娘」しか実行出来なかったが、
その宮原氏の流麗とまで言えるドイツ語の美しさの記憶は衰えない。

録画再生の話に戻す。
ギターソロで幕開け、シューベルトのデュオの導入として
エレジーの叙情性がふさわしくきこえる。

テノールのヤン・コボウを聴くのはこれが初めて。
ペーター・シュライヤーがラゴスニックのギターで歌ったのを知っているが、
テノールの音域、音色がギターと相性がよいのではと思った。
またピアノが上手でないシューベルトは元々ギター伴奏で作曲したとも言われている。

ヤン・コボウがピアノでなくギターとのデュオを選んだ理由も聴いているうちに理解出来た。
村治佳織という音楽の自由度をものにしているギタリストだからこそとも言える。
ヤン・コボウは束縛のない世界をものにして実に緻密かつのびのびと
艶のある伸びの良い声でギターとの対話を進めた。
クラシック倶楽部 村治佳織 Ⅱ_e0166734_2321597.jpg


放送は全曲でないのが残念だが、聴いているうちに止めどのない悲しみを
シューベルトはこのミュラーの詩による曲集に込めたのでは無かろうかと思った。

終曲「小川の子守歌」でさえも聴くにつれてその様な思索を深くした。
Gute Ruh’、gute Ruh’! いこえ いこえ!
に始まって
Gute Nachat、gute Nachat! ねむれ ねむれ!
Bis Alles wachat.        世の終わりまで.
・・・・・                  ・・・・・

と終わりに近づくあたりの音楽は
胸を締め付けられづにはいられなかった。

この度のデュオは村治さんをして
真に歌うという行為を実感されたのでは無かろうか。
村治佳織さんはドイツ語を勉強したいと言っていた。
きっともっと奥深いものを追求しようと思われたに違いない。
又の機会が有れば今度は生で聴きたい。
チェックし損ねた方へ、再放送があります。
10月3日 NHK-BS2 10:55~11:51






 

by tomiot3 | 2009-11-27 22:05 | 音楽よもやま | Trackback(2) | Comments(0)

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