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電力が無くては国は滅ぶか

福島原発を筆頭とした原発事故で完全に崩れた電力需給バランス。
かって経験したことのない計画停電、鉄道の運行制限などなど。
これは未曾有の大災害が直接の原因であることを十分理解した上で、
これらの事態はたとえ災害以外でも大停電が起こる要因は充分孕んでいるのである。
それが極度に発達した文明の弱点でもある。
こと電力に関しても、需要を喚起し大量に電力を売って利潤を上げるために、
電力会社は水力、火力、原子力の開発を進めてきた。
そして最新鋭の大容量火力と原子力に力点が移っていた。
ことに原子力に関しては地球温暖化削減の要求面からも、
近年は世界的に重要視されてきた経緯もある。
これらの海外輸出進出にも本腰で乗り出そうとした矢先の今回の災難。
やはりアトムという神の領域を侵している人類への警告かも知れないとすら思う。
核という世界は元々人間の手に負えない代物であることを証明した。

一般向けには電化住宅を推進し、都市化による照明空調、運輸などの大電力消費地を創造し、
街は不夜城と化して、宇宙からの眺めはまさに不眠都市の、あるいは不眠列島を形成してきた。

今後原発の復活、あるいは新設することは非常に困難な情勢になった。
されど需要を抑制することに現状では限界がある。
先ずは経済復興に支障を来す。
さりとて急遽火力を新設するにも時間を要する。
又太陽光、風力といった不安定電源ではこれらをカバーしきれない。
太陽光は各家庭中心の設備化、
つまり個人需要に匹敵する分を発電する積み重ねが効果を発揮しよう。
スマートグリッド推進のチャンス到来でもある。
太陽光を救世主と考える無機もあるが、余りにも広大な用地が要る割には、
出力が小さい。大規模と言われてもせいぜい一千キロワット、
これでは大編成の電車を一編成動かすのがやっとである。

当面は思い切った抑制策をとるしかない。
必要不可欠な部門以外の、例えばライトアップの中止、自動販売機の制限、
コンビニ等のLED化、テレビ放送の時間制限、電化住宅推進の中止、
さらに需要面の緊急的大改革を政策的に行う。
そのひとつが地熱利用である。
大都市の大負荷を軽減するには、空調熱源を地下から求めることによって
大幅に電力使用節減へとつながる。
今建設中の大阪朝日新聞社ビルの熱源は堂島川の水から得ることになっているのも参考になろう。
又一般負荷においても空調、給湯等の地下熱利用を推進することは非常に有効である。
従来電力会社は利潤追求に奔走しすぎた。
ここらで国土の安全保障の一端を担っている公益事業であることを再確認する必要があろう。
この度の東電の危機は日本の危機になりかねないのである。

発電面の非原子力化は当然のこととして、これらのリスクを吸収するにため、
需要面での電力使用量縮小、つまり以上のような政策をとることによって、
新たな生産活動の掘り起こしが行われ、ひいては省エネルギー、
低炭素化列島の実現にもつながる。

だが今回の福島原発の一定の終息が行われた暁には限定的に
原発の再稼働も視野に入れないと列島の中枢は麻痺様態から脱却できないだろう。

さらに東北地方のみならず、首都東京の弱点を克復するには、
政治経済の機能分散化、産業構造の分散化は避けられないだろう。
よく言われていた国土軸そのものを見直すことが絶対条件となるであろう。

我田引水でもの申せば、山陰地方に一部又は全部を移転する大集団があっても良い。
これらが実現したとすれば、日本は以前にも増して世界の憧れの列島となるだろう。
とにかく大都市集中は日本を壊滅させる危険をはらんでいる。

以前から独り言で言っていた災害に強い日本列島づくりをすることは、
我が国の永続的発展のスタートであると考えている。

by tomiot3 | 2011-03-27 21:00 | 多論好論 | Trackback | Comments(0)