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フッペルピアノは幻だった

去る8月1日 フッペルの名を冠したコンサートでのこと。
フッペルピアノは映画「月光の夏」で一躍有名になったピアノ。
わが国に現存するのは佐賀県の鳥栖小学校と鹿児島県の知覧特攻平和会館の2台に加えて、
日南町の日野上小学校(閉校)に3台目が存在する。

そのフッペルが鳥取にやってくると思い込んだ僕は、期待感を持って出掛けた。
フッペルピアノは幻だった_e0166734_19401813.jpg

第一部はそのピアノにまつわる演劇、その舞台に置かれているピアノ。
小ぶりなピアノで足は古めいている。
すっかりこれがフッペルかと思い込んだ。

コンサートのチラシにもそこら辺りの説明が省かれている。

劇中、キーを単音だけ押すシーンが2度有った。出てきた音は以外としっかりしている。
へー!!
ところが劇中それ以上ピアノが弾かれることも無く、
折角なんだからもっと鳴らして欲しいと思うのが人情というもの。

後日、関係者からあのピアノは本物では無かったと聞かされる。
本物はとても傷みが酷くてダメだという。

そうなのか。それでは仕方が無い。
でも僕と同じくフッペルと信じた人が他にもいたことだろうに。

なにか釈然としないフッペル物語であった。












フッペルに関してネットを探っていると、
とりぎん文化会館が所有するベーゼンドルファーのことに触れられている一文が目にとまった。

ベーゼンは余り利用されないのは、高いリース料のせいであり、
その使われないピアノも管理費(調律)つまり税金を使っている主旨が述べられていた。

当館にはスタインウエイ2台とベーゼンドルファー1台、それにヤマハ一台を所有している。

ピアノの基本的な性能維持のために管理は欠かせないが、これは年一回か、
多くて二回行われているかも知れない。

スタインウエイの使用率が高く、ベーゼンは利用率が低く、ヤマハはなお低いかもしれない。
使用料が高いと言ってもスタインウエイと同額、
高いからと言うのは当たらない。
コンサート全体の経費からすれば、それほどの高額と思っていない。

とっとり楽友協会のコンサートでは好んでベーゼンを使った実績がある。
ベーゼンはウイーン系の音楽には特に欠かせない楽器である。

そもそも通常のピアノ利用者(コンサート主催者)は使用料(10、190円)に加えて、
調律費を負担する。
調律はピアニストが指定する場合があるが、東京や大阪からお出で頂くことが何度かあった。
この経費たるや皆さんにはお分かりにならないだろう。
だから税金云々よりも利用者サイドの問題である。
文化行政、予算の貧弱な国や自治体、どれほどのことがあろうか。

ベーゼンの利用率が低いと言われているが、1つには地元ピアニストが使い慣れていないことや
そもそも会館自体でのコンサート回数も多くないので、ここでベーゼンを攻めるのは酷である。
とっとり楽友協会も以前のような勢いが無いので、コンサートをしたくてもなかなか思うに任せない。

だがベーゼンドルファーがあること自体が、ピアニストのピアノ選択に自由度を担保している。
ベーゼンドルファーの実力を知ったなら、今後は利用率も上がるだろう。

とっとり楽友協会では絶えずそのことを念頭に考えている。

皆さんにわが国の文化予算の貧弱さを知って、言ってほしいものだ

皆さん!ベーゼンドルファーの豊穣な音に嵌まってみませんか。

by tomiot3 | 2012-08-03 19:41 | 音楽よもやま | Trackback | Comments(0)