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今年の稔りは有ったか

今年も残すところ二日、歳と共に年末年始の感慨が薄れる中、
否応なしにあたふたとする日々を送ってしまう。
午年こそ転機をつかみたいと喘いだが、結果的に蟻地獄に嵌まってしまった。
とっとり楽友協会20周年の集大成に取り組み、9月の2日間に亘る《とっとり音楽祭》、
エンディングとして、11月には《『《バッハ》を囲む巨匠達』》を四苦八苦の末、ひとまずの体裁を整えた。
準備期間に余裕を持たせることが出来なかったこ不安が、見事的中し、
大方の音楽ファンの賛同を得ること能わず、集客数は実に心残りになる結果を招いた。
出演者の方達のレベルの高さをより多くの方々に知って頂くことが出来なかった。
返す返すも残念、今後への課題を残してしまった。
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9月音楽祭における初日、かって聴いたことが無いと多くの方に言わしめたベーゼンドルファーの奇跡的な音。
このベーゼンを余すところ無くな鳴らし切ってくださった川上ミネさんと智内威雄さん、そして音楽の悦び。
その向こう側には、斉藤智さんというピアノチューナーの匠の技が絶妙な音の世界を照らしていた。
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鳥取に初めて持ち込んだフォルテピアノ、製作者の深町研太さんと共にやってきたブロードウッド社製(1802年)
のレプリカは鳥取に鍵盤楽器の新しい歴史を刻んだと自負出来た。
羽賀美歩さん鍵盤裁きと音楽の自由闊達さに支えられた藤井雄介さんのテノール独唱は、
シューベルトの「至福」が歌われた如く、文字通りのものであった。
県出身者のテノール山本耕平さんの活躍ぶりを知るにつけ、同じテノールであっても、
微妙な音質の違い、分野の違いを乗り越えた藤井さんの歌唱の素晴らしさを想い出す。
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二日目は、我が鳥取出身のヴィオリスト棚橋恭子さんとその仲間によるヴィオラ・クァルテット
「アルト・デ・カンパーニュ」は超息の合ったアンサンブルで希少価値のヴィオラカルテットへの認識新たなり
を強く印象付けてくれた。若いメンバーのほとばしるような音楽は斬新かつ爽快であった。
鳥取においてすっかり顔なじみのバロックヴァイオリンのヴィルトオーゾ赤津眞言さん、チェロの武澤秀平さんに
新進のヴァイオリニスト長山恵理子さんが加わるオーケストラ・ファン・ヴァセナール番外編のバロック室内楽は
未知の世界の魅力を知らしめてくださった。
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声楽アンサンブルは赤津眞言さんの率いる「アトナリテクール」によって、これまた未知のアンリ・デュモンのオラトリオを
オーケストラ・ファン・ヴァセナールによる古楽案サブると共にスケールの大きな演奏を展開、音楽の世界の広さの一端を鳥取の人々に感銘をもって受け入れられたのではないだろうか。
またオーケストラ・ファン・ヴァセナールの土台として恒に通奏低音、時にソロを受け持たれている張張りスト岡田龍之介さんが永年にわたって活動の古楽アンサンブル「ムジカ・レセルヴァータ」は~二人のフィリップ~と題して、フィリップ・エマヌエル・バッハとゲオルク・フィリップ・テレマンに光を当てた演奏は、緻密で自由闊達な古楽アンサンブルで多くの人々に感銘を与えたようだった。9月14,15日の音楽祭は実行する者としては、大変にハードではあったが、出演者の方々の塩素プレベルの高さと熱演でイマニしてみれば、良き想い出の詰まった宝箱となった。  
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11月30日、オーケストラ・ファン・ヴァセナール『《バッハ》を囲む巨匠達』2008年以来のこのグループによる鳥取コンサートでは、過去最大の8名による編成で、躍動感に加え、アンサンブルにさらなる厚みとディナーミックが加わって、バロック音楽の醍醐味がここに極まった感が強かった。何時ものこと乍ら、バッハ、ヘンデル、テレマンのようにわが国で知名度が無くとも、深いバロックの森をまたまた教えてくださる赤津眞言さんの音楽への情熱と博識に知性が加わった演奏の数々に酔いしれるばかりであった。

by tomiot3 | 2014-12-30 16:57 | 音楽よもやま | Trackback | Comments(0)